川崎総合法律事務所

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若松弁護士

2012年07月02日

若松弁護士の「司法修習の意義」がロースクール研究NO.19(2012年5月号)に掲載されています。

以下掲載文を紹介します。

司法修習の意義~法科大学院を修了して弁護士となった経験から~

                               弁護士 若松みずき

1 はじめに
平成11年7月に司法制度改革審議会が内閣に設置され,司法制度改革の目玉の一つとして法科大学院の創設があげられた。そして,ついに平成16年4月には法科大学院が創設された。法科大学院には既修者コースという2年コースと未修者コースという3年コースがあり,筆者はまさに法科大学院が創設された年の既修者コースに入学した1期既修生である。以下においては、筆者の体験から考える「司法修習の意義」や,「法科大学院での教育と実務とのつながり」について述べたいと思う。

2 司法修習の意義について
  司法修習は,現在、1年という期間で実施されている。まず、分野別実務修習として、①民事裁判修習、②刑事裁判修習(家庭裁判修習含む)、③検察官修習、④弁護修習を各2ヶ月の期間で行い,次に2ヶ月間、選択型実務修習として知的財産法や少年事件,労働事件,破産事件,大規模法律事務所,地方支部法律事務所等のさまざまな分野の中から選択したものを行う。このとき何も選択しなかった者や選択修習期間が終わった者はホームグラウンドという,弁護修習先の法律事務所で研修を続けることになる。最後に、集合修習として,司法研修所において,実務修習の体験を補完して,体系的,汎用的な実務教育を行われ,法律実務のスタンダードを指導する課程が2か月間実施される。現在はこの集合修習は埼玉県の和光市にある司法研修所に集まって,実際の判決を書くときに何を考慮要素とするのか,判決文はどう書くのか,検察官が起訴・不起訴をどの程度の立証で決めるのか,起訴するとして何罪で起訴すべきなのか,どの事実をどの程度考慮するのか,弁護士としてはどのように事実を組み立てて主張すべきかということを主に学ぶことになる。
  旧司法修習では,初めに集合修習があり,そこで要件事実等について学んだ後に実務修習があり,そして最後にまたあらためて集合修習が行われたが、現在の司法修習では、はじめの集合修習はなく、いきなり実務修習から始まる。
それは,法科大学院が創設された理由の1つとして,法科大学院において司法修習の先取りをして実務的な素養も身に付けさせることに伴い,司法修習制度の期間をそれまでの1年半から1年に短縮するという趣旨によるものであるとされている。
その一方,法科大学院において実務的な素養も教育されるのであれば、なぜ、司法修習は廃止されなかったのかという疑問もある。この点は、司法制度改革審議会の議事録によれば、「司法研修所の要件事実教育や事実認定に関する教育はまさに事実を中心とするものであって、概念法学とは異なるものである。司法研修所は、ロースクールができたとしても実務教育を担う機関として依然として不可欠の存在というべきである。」とされている。
筆者はこの言葉に深く共感を覚える。
これは,集合修習における司法研修所での教育について述べているが,実務修習についてはもっと意義が大きいだろう。

3 司法研修所の意義(集合修習)
  司法研修所では,実際に無罪判決となった事案を基に刑事弁護修習が行われ,実際に有罪で起訴された事件の証拠を基に検察修習や刑事裁判修習が行われたりしている。民事裁判についても同様である。
  法科大学院で学習することができる事案は、基本的には公開されている判決文だけであるが,司法研修所ではほとんどありのままの事案を基に,証拠や当事者の言い分をみて判断することができる。
  法科大学院では,実務家教員が実際の事件を参考にして学習的要素を取り込んだ事案を作成し,それを検討することはあるものの,実務家教員の労力が多大であり,事案の量はどうしても限られてしまう。したがって,どのような事実が結論に影響するのか,要件事実のどこにあてはまるのかといった学習は,基本的には判決文の中にあげられた事実をもとに検討するしかないのが現状である。
  私の所属していた横浜国立大学法科大学院では,熱心な実務家教員により,民事事件においては実務に近い事案での教育がなされた上,とても心に残る授業をしていただいた。一方で、刑事事件となると,実際に刑に処せられた人の過去の犯罪という極めてプライバシー性の強い分野について扱うことになるので,なかなか事例を挙げにくいこともあり,抽象化された事案での教育となった。これは,法科大学院生が司法試験には合格していない単なる一大学院生に過ぎないということからくる限界でもあると思う。
  また,法科大学院では,各大学院ごとに工夫をこらしていると思われるが,一律した教育がなされるわけでないことから,A大学院では,教員が実務に近い事案を基に教育をすることに熱心だが,B大学院では,実務教育よりも概念的な教育に力をいれている、ということもあるかと思う。法科大学院では、将来的に三権の一つである司法権を担っているにもかかわらず,教育内容に大きな差がある状況が放置されていることは問題である。しかし、現在は、各法科大学院がそれぞれ教育をするという制度である以上、格差が生じることは避けられないのであるから,その意味でも,同じ教育を施す機会を設ける司法研修所の存在価値はあると考える。
  以上述べたように,司法研修所の存在意義はさまざまあるが,司法修習は、司法試験に合格した者を対象として行われる研修であり,司法修習生は準公務員として守秘義務も法律上課されているうえ、さまざまな制約もあり国の監督下にある身分である。そのような身分だからこそ,生の事実を題材として研修をすることができるのであって,そこに大きな意義があるのではないだろうか。

4 実務修習の意義
法科大学院では,実務についての学習をしようとしても,実際の取り調べができるわけでもなく,実際に尋問を見て判断するわけでもなく,証拠を集めることができるわけでもないため,その教育効果については、限界があろう。
しかも法科大学院生は,全くの法律未修者から,ある程度法的な知識や素養が身に付いた学生までさまざまであるが,共通していることは,司法試験には合格していない、ということである。
司法試験に合格しておらず,法律の概念や知識が不足している者たちが、実務にふれても得るものは限られるのではないか。
実際,筆者は法科大学院時代に模擬裁判を体験し現役の裁判官に直接実務を学んだり,法律事務所において1~2週間の実務を体験する機会を得た。しかし,筆者は既習者コースではあったが法律の知識や概念の理解の習得については、まだまだ不足していたため、法律事務所では、見物するだけで終わってしまった。筆者が法律事務所での1~2週間の滞在で得たものは「こんな裁判があるんだ」とか「弁護士って意外と事務所にいないで動き回ってるものなんだな」「マスコミとも関係したりするのか」という感想くらいである。
模擬裁判では何を尋問で聞き取るかについて学生同士で会議をしたり,法律構成を考えたり,と意欲的に取り組んだが,しょせんは模擬なので,尋問を試みても「設定にありません」という返答が返ってきてしまうことも多く,実際の裁判とは異なるものであった。また,証拠を集めるという弁護士にとってはとても大切な部分を経験することはできない。
もちろん,この経験によって得たものはあるが,それは「実務」ではなかったと感じている。
何より,法科大学院生は,司法試験に合格するために勉強している立場である。どうしても司法試験に合格することを最優先目的としてしまうし,またそうあるべきであるとも思う。
何といっても実務に携わるのは司法試験に合格した者だけなのである。そして残念ながら法科大学院生の中には司法試験合格という目的に届かない者たちがいるのも現実である。
そのような,司法試験に合格し、法律実務家としての道を歩めるのかわからない段階にある学生たちに、実務もどきを経験させる場を提供しても,実務に携わる直前の司法修習生とは、そもそも意欲が異なるであろうし,実力も異なるであろうことから,実務の素養を身に着けさせたことにはならないだろう。悲しいかな,少なくとも法科大学院生の段階の筆者には身に付いていなかった。模擬裁判等で教員が理解させようとしたことを筆者が理解できたのは,司法試験に合格した後である。そういう意味では,法科大学院での実務教育も無駄ではなく,後に花咲く種まきのようなものとしての意味はあるといえる。

5 法曹三者を経験できることの大切さ
(1) 法曹三者の実務をすべて体験できる
現在の制度の下では司法試験に合格した者は、司法修習において法曹三者の実務をすべて体験したうえで、裁判官、検察官、弁護士のどの職業を選ぶか決めることができる。
司法修習は国家の税金を使って行われ(修習生への給与については現在は貸与制になっているが以前は給付制であった。また,司法研修所の教官の給与等は現在も税金でまかなわれている),裁判官や検察官など公務員になる者だけを教育すれば良いという意見もあるだろう。しかし、自分の適性や、将来にわたって続けていきたい仕事を受験生の段階で選択することは困難であるし、企業においてもOJT(on the job training)をしながら所属する部署が選択されていくことは一般的なことである。それを考えれば、司法試験に合格した段階で初めて真の実務にふれ、その中で自分の適性を見極め、自分と対話するという過程は必要なものであると考える。
したがって,司法修習の一番の重要な意義は、何といっても「法曹三者の実務をすべてを経験できること」だろう。
(2)検察修習にみた検察官という職業
私は,弁護士を志望して司法試験を受験を決め,法科大学院に入学した。法科大学院では実際に裁判官,検察官,弁護士の実務家教員がいたが,裁判官の実務,検察官の実務,弁護士の実務をみたり経験したわけではなく,授業を受けただけなので検察官や裁判官に興味をもつことはなかった。筆者にとって裁判官は、真面目で自由がなさそうで、人とかかわることのない職業だとイメージしていたし,検察官はひたすら犯罪者の処罰をめざす人たちの集まりというイメージでしかなかったのだ。
しかし,司法修習生になり,はじめに検察修習を経験して、初めて検察官という職業に興味をもった。起こったばかりの生々しい事件の記録(こんなにも膨大な記録があるということは初めて知った!)を読み,被疑者の取り調べをし,警察官に補充捜査の依頼の電話をした。証拠が十分であると感じた事件については起訴状を作成し,指導担当の検察官に見てもらう。そこで承諾をもらえると上の立場の検察官に見てもらい,そこでも承諾がとれればさらに上の立場の検察官にみてもらい最終的には検事正の承諾をもらって実際に起訴をすることになる。その間「これは調べたのか」、「なぜこの証拠で起訴を決めたのか」など質問を受け,それに対して説得力のある答えを持たなければならない。筆者が,不起訴が相当であると考えた場合でも、上の立場の検察官は起訴すべきと考えていることもあり,一人の判断で決めることはできない。検察庁というのは大きな組織であり,一人の人間の起訴・不起訴という人生にとって重大なことを決めるのに際し,たくさんのフィルターをとおして判断しているということを実感した。同時にさまざまな意見にふれることができ,実力を付けるための研鑽がつ積める職業であるとも思えた。
  また,取り調べでは,普段は温厚で優しい検察官がとても緊張感のある空気を醸し出し,被疑者が泣いてしまう場面にも立ち会った。初犯であったり更生が十分に考えられる被疑者の場合には,あえて厳しい態度で臨み,もう二度とこんな目にはあいたくない,こんなところには来たくない,と思わせて再犯を防ぐことの意味も知った。
  検察官というのは,ただひたすらに犯罪を行ってしまった者の処罰をめざす職業ではなく,その人の更生を促したり,被害の回復を促したりとすることで社会や人とかかわることのできる職業なのだと知って,真剣に検察官という職業について考え修習にも励むことができた。
(3)刑事裁判修習にみた裁判官という職業
筆者が検察修習の次に経験したのが刑事裁判修習であるが,これも非常に興味深く初めて裁判官という職業に興味を持った。
  刑事裁判修習では,無罪を争っている事件や責任能力を争っている事件を中心に判断し,その判断経過を裁判官に見てもらった。尋問で修習生である私が質問することはできないが,紙に質問したいことを書けば裁判官に代わりに質問してもらうこともできた。実際の事件にかかわって,被告人の言葉を聞いて,有罪か無罪かを判断することは,人生を抱えるような重さを感じたし,裁判官席という壇上からとはいえ真剣に被告人と向き合う姿勢を学べたような気がする。
  裁判官は非常に勉強熱心な方が多く,裁判官室には書籍も多くあるし,専門家を招いての研修もあった。事案の判断をするには専門的な医療知識が必要なこともあるし,事件の背景事情を知る必要もあり,たくさんの勉強をしながら真剣に判断をしていることを知り,魅力的な職業だと感じた。
  また、事実に争いがない事案でも判決のあとの説諭で裁判官が被告人に語りかけ,被告人が感動して涙を流す場面もあった。
このように裁判官は,真剣に人の人生を考え,勉強も重ね,人と向き合うことのできる職業だと知り,裁判官になりたいという気持ちも持つに至ったのである。
(4)弁護修習にみた弁護士という職業
その次に経験したのが弁護修習である。筆者が修習した法律事務所は、複数の弁護士が所属し,委員会や弁護団会議などにも参加する機会があったため、多くの弁護士とふれあうことができた。
依頼者の同意を得て打合せや法律相談に同席することもでき,多くの事件にふれることができた。裁判の前に証拠を保全するのに同行したこともあるし,強制執行の場に立ち会うこともできた。折にふれて,担当弁護士がどれほど真剣な気持ちで事件に取り組んでいるのか,どのような社会をめざしているのか,そのために今の活動がどうかかわってくるのか,などを聞き,魂がゆさぶられるような気持ちを感じた。
結局,受験生時代になりたいと考えていた弁護士になったが,筆者が最終的に弁護士を選択したのは、指導担当弁護士の熱い気持と行動をみて,自分のやりたいことと重なったからである。受験生時代に感じていたほんのりとした気持とは大きく異なる覚悟のような気持ちに変わっていた。これらの経験から,実務修習には大きな意義があると考えている。
  
6 法科大学院教育と実務とのつながり
  これまでの司法修習の意義についての私見から,法科大学院教育についてはあまり肯定的な意見を持っていないように思われたかもしれないが、筆者は、法科大学院には,種まきとして重要な役割が与えられていると感じている。
法科大学院では法律実務教育や要件事実教育,倫理教育が義務づけられており,学生たちはそれを学ぶことになる。司法試験においても要件事実的な視点を踏まえた解答を求められている。そして,実務家教員がそれらの科目を教育することになっている。
  筆者の所属した横浜国立大学法科大学院においても,裁判官による要件事実の授業があり,弁護士による倫理教育があり,検察官・弁護士による刑事実務科目・民事実務科目の授業があった。
  筆者の学習到達度が低いために,裁判官による要件事実の授業は、半分程度しか理解できなかったが,半分程度でも学べていたからこそ,司法修習においていきなり実務修習が始まっても対応できたのだと思う。ただし,筆者は裁判官の道を歩んでいないので,裁判官となる人たちにとって,司法修習において、最初に集合修習がないことがどのように影響しているのかはわからない。この点は、今後、検討してみたいと思う。

  検察官・弁護士による実務科目は,具体的な事案が教材として作成され、検討する授業であったので,検察官の着眼点,弁護士の着眼点を学ぶことができ,実務をイメージすることができた。上に述べたように,司法試験合格前の一大学院生であるがゆえに生の事案を使うことができないという限界や,知識や理解の程度が低いために習得するのに限界があるが,具体的なイメージを持つことで意欲も増し,まいた種が花を咲かせるように司法修習においての深い理解の手助けとなった。
  司法修習が不要になるほどの実務教育や要件事実教育がなされるわけでもないし,また,それほどの教育は司法試験の合格前にする必要もないと思われるが,法科大学院での実務教育があるからこそ意欲的に学習することができ,短い修習期間でも理解することができるのだと考える。

7 今後の展望
  私は一期既習者であり,法科大学院の先輩はいなかったが,今後は,法科大学院を卒業して修習を経て実務家となる人たちも増え,彼らが法科大学院で教える機会も増えていくだろう。法科大学院を経てから司法修習・実務に進んだことにより,司法修習や実務で求められることと法科大学院での教育とのギャップを自らの経験をふまえて教育の現場にフィードバックすることもでき,そのことによって法科大学院と修習・実務との架橋が強まり,より洗練され理想的な法科大学院教育へ近づいていくのではないだろうか。
  法科大学院は司法修習の代替となり得ないし,現在の司法修習は法科大学院の教育なくしては成り立たないものである。したがって,法曹教育の場として今後の法科大学院のさらなる発展を期待するとともに,司法修習の充実を望みたい。

                                                          以上

2012年08月01日

若松弁護士の「勾留理由開示請求をしたら即時釈放された事案」が刑弁FLASH第67号(2012.6.29刊行)に掲載されました。

以下掲載文を紹介します。

第1 事案の概要
本件は、男性が、深夜公道で陰部を露出して自転車にまたがっていたところを警察官に現認され、現行犯逮捕された事案です。男性に前科前歴はなく、住居が定まっている上に、定職にも就いていました。そのため、男性は、初めての逮捕に動揺しつつも、注意を受けてすぐに家に帰れるだろうと考えていました。
 しかし、身柄拘束3日目に勾留決定が出されたため、男性は、当番弁護士の派遣を要請し、私が、同日接見に行き、受任して弁護人となりました。

第2 勾留決定に対する準抗告申立
本件は、公然わいせつ罪の現行犯逮捕事件で、隠滅する証拠はありませんし、男性は事実を認めていました。また、男性に前科前歴がないこと、定職があり妻と幼い子どもがいること、通行人が多くはない時間帯での犯行であったことなどから、私は、男性が処分保留で釈放されるか、罰金刑が言い渡される事案ではないかと考えました。
 そこで、私は、男性に対し、勾留決定に対して準抗告の申立ができること(ただし、認められる可能性は高くはない)、おそらく罰金刑が言い渡されるので何もしなくても勾留満期日(勾留10日目)には釈放される可能性が高いことを伝えました。その上で、私は、男性に対し、それでも勾留決定を争うか聞いたところ、初めての身柄拘束で留置場の中での生活が怖いため、1日でも早く出たい、留置されている人達も怖くてたまらない、ということだったので、私は、勾留決定に対する準抗告の申立をすることに決めました。
 私は、男性の妻と面会し、上申書と身柄引受書を作成し、身柄拘束5日目(拘留3日目)の午前9時30分頃、裁判所に準抗告の申立をしました。

第3 準抗告の申立に対する裁判所の判断
 裁判所は、その日のうちに棄却の決定を出してきたのですが、その内容があまりにもひどく、納得しがたいものでした。
 裁判所は、「被疑者の適正な終局処分の判断をするためには、犯行に至る経緯・動機や被疑者の生活状況等の解明が必要と認められる。そうすると、これらの諸点が十分解明されていない現段階においては、被疑者が関係者に働き掛けるなどして、本件の罪体や重要な情状事実について、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由が認められる。また、被疑者の身上や生活状況に加えて、本件が法定刑として懲役刑も定められている犯罪であることなどに照らすと、被疑者が逃亡すると疑うに足りる相当な理由も認められる。」と判断し、準抗告を棄却しました。
 単独で陰部を露出するという公然わいせつを行っただけであるにもかかわらず、「関係者に働き掛け」て罪証を隠滅するおそれがあると述べ、かつ「法定刑として懲役刑が定められている」から逃亡のおそれがあるというのです。
私は、準抗告の申立が棄却されることについては、ある程度諦めに似た気持ちをもっていましたが、裁判所の決定理由があまりにも理不尽であったため、この決定を放置しておくことができないと考えました。

第4 勾留理由開示請求
 準抗告の棄却決定に対しては、特別抗告をするという方法もありましたが、私は、書面で申立をしたところで、また棄却されるだけだと考え、別の方法を検討しました。
勾留理由開示請求をしてはどうかという意見も聞いたのですが、私には意味があるとは思えなかったので、どうしたものかと悩んでいたところ、Defenseの「勾留理由開示請求したら即釈放された例」というコラムを読み、勇気をもらいました(改訂版27頁)。
 そこで、私は、身柄拘束10日目(勾留8日目)に男性と接見し、勾留理由開示請求の説明をしました。私が、男性に、「公開の法廷で公然わいせつという恥ずかしいことを明らかにされてしまうけれど良いか」「必ず釈放が早まるものでなく、早まっても1日だがよいか」と尋ねると、1日でも早く出られる可能性があるのであればやって欲しい、ということだったので、勾留理由開示請求をすることに決めました。
 私は、身柄拘束11日目(勾留9日目)の朝、裁判所に勾留理由開示請求書と求釈明書を提出しました。そうしたところ、約30分後に検察官から「勾留理由開示請求との関係で本日釈放します。」とい連絡が入りました。男性は、その日の午前中に処分保留で釈放され、私は、裁判所からの要求に従って、勾留理由開示請求を取り下げました。

第5 その後、雑感
 男性の勤務先の上司は、被疑事実を知った上でしばらく黙ってくれていたのですが、結局会社の知るところとなり、男性は、会社を辞めさせられてしまいました。今回の事案は、逮捕されたとしても勾留されるべきではない事案だと思います。男性が勾留されていなければ、職業を失うことにもならなかったと思います。勾留することによって、その人の人生、社会的地位を奪ってしまうと言うことを検察官、及び裁判所にはもっと深く考えて欲しいです。

2013年03月08日

夫婦関係・離婚をめぐる法律講座のお知らせ(弁護士 若松みずき)

男女共同参画センター主催の『夫婦関係・離婚をめぐる法律講座』が各フォーラムにて、全5回にわたり弁護士がわかりやすくご説明します。
当事務所の若松弁護士は、第1回の4月18日(木)10:00より『基本編』について講演します。

当日は保育もありますので、お子さんがいらっしゃる方もお気軽にご参加ください。
また、経済的に困難な事情がある横浜市内在住・在勤・在学の方には参加費や保育料の免除制度もあります。

お申込み・お問い合わせ等の詳細につきましては下記までお問い合わせください。

会場:フォーラム南太田第2研修室
定員:女性40人
参加費:1,000円
申込:3月11日(月)より電話および来館にて先着順で受付
     ◇フォーラム南太田 045-714-5911
保育:3月11日(月)から開催日4日前まで先着順で受付
    (2ヶ月~未就学児対象)
     ◇フォーラム南太田 045-714-2665

【男女共同参画センターHP】
http://www.women.city.yokohama.jp/find-from-p/p-seminar/search/detail/?id=3774


【夫婦関係・離婚をめぐる法律講座案内】
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2013年09月25日

若松弁護士の「いつか年をとる自分に」が横浜弁護士会のHPに掲載されています。

横浜弁護士会所属の弁護士が毎回さまざまなテーマで語る弁護士コラムに掲載されています。
以下掲載文を紹介します。
 
 弁護士の仕事らしくない、と思われるかもしれませんが、私はご高齢の方たちと関わることが多い仕事をしています。

 たとえば、成年後見人といって、自分で金銭管理をしたり、重大なことを判断したりすることが難しくなってしまったご高齢の方の代わりに、家賃を払ったり、介護サービスの契約をしたり、どこか良い施設を探したりする仕事があります。

 今日も、私が成年後見人をしているおばあちゃんの洋服と室内履きを買いに行きました。介護用品はよく考えられていて、肌が弱くなってしまっているおばあちゃんが着易いような、柔らかい生地のものが多くあります。私も、柔らかくてふかふかの室内履きを買いました。脱げて転んでしまうといけないので、ちゃんとかかともあります。履き易いようにかかとも柔らかいんですね。

 明日は、これを持って施設の入所契約に行ってきます。

 他にも、オンブズパーソン活動と言って、高齢者や障がい者の方たちが生活している施設を訪問して、そこで生活している方達の話を聞いたりもしているのですが、いつも、「将来の私」を見ているような気持ちになります。

 施設のスタッフさんたちは皆さん熱心に介護して下さっていると思いますが、意思表示がなかなかできない方のことは、どうしても後回しになってしまったり、介護してあげてる、という気持ちになってしまったりすることもあるかと思います。オンブズパーソンは、そういう声を出しにくい方たちの声を拾うこともできる良い制度だと思いますので、私が将来入る施設は、そういう第三者機関への相談窓口がしっかりしているところがいいなあ、などと考えたりもします。

 将来、私たちが安心して生活できるように、もちろん今も皆さんが安心して生活できるように、これらの活動にきちんと取り組み、目の前にいるおじちゃんおばあちゃんにとって、頼もしい存在であれるように、励んでいきたいと思っています。
 
http://www.yokoben.or.jp/profile/column/2013/09/post-36.html
 
以上

2016年08月24日

平成28年度 第一回「やさしい法律教室」開催のお知らせ(女性労働問題について)

昨年大変好評をいただきました、無料法律講座を、今年も開催致します。
今年度は、合計二回の講座を予定しています。
第一回目は、若松弁護士・山際弁護士による「女性労働問題講座」です。講座開始前には、女性のためのスキンケア教室も行われるようですので、ご興味のある方は是非ご参加ください。※予約制

【第一回やさしい法律教室 詳細】

日 時: 平成28年10月14日(金)14:00~16:00

場 所: 鶴見市場コミュニティハウス「ゆうづる」
      ※市営バス「市場橋」下車徒歩4分
      ※京急線「鶴見市場駅」より徒歩8分
    (住所 横浜氏鶴見区市場市場下町11-5)

講 師: 弁護士 若松みずき ・弁護士 山際 康太郎

参加費: 無料

テーマ: 女性の労働問題について
 (14:00~約1時間行います。法律講座のあとは、スキンケア講座が開催されます。)

予約電話番号: 045-504-1077
       (ゆうづる 担当 浅井様)

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2017年02月02日

夫婦関係・離婚をめぐる法律講座のお知らせ(弁護士若松みずき)

 横浜市の男女共同参画センターが主催する法律講座で、若松弁護士が講演を行います。

 法律講座のテーマは、「夫婦関係・離婚をめぐる法律講座」、全6回の講演の中で、若松弁護士は「子の養育費編」を担当します。当日は保育もありますので、お子様がいらっしゃる方も安心してご参加を頂けます。若松弁護士の講座は、分かり易い説明で大変定評がありますので、是非この機会にご参加ください。
【夫婦関係・離婚をめぐる法律講座  子の養育費編】
未成年のお子様の親権、養育費、面会交流等のお話が中心です。
  日時:平成29年3月2日(木)10:00~12:00
  会場:フォーラム南太田
  定員:女性40名
  参加費:1,000円

※申込は、開催日前月の11日から電話・来館にて(先着順)。
※経済的に困難な事情がある横浜市在住・在勤・在学の方は参加費、保育費に免除制度があります。
※詳細は、横浜市男女共同参画センターのHPをご覧ください。
  http://www.women.city.yokohama.jp/

2017年05月01日

若松弁護士が退所しました。

 この度、当事務所に8年5か月在籍しておりました若松弁護士が退所移籍致しました。
 当事務所は新しい陣容のもとで更に一致団結して業務に精励する所存でございますので,川崎総合法律事務所への一層のご指導、ご支援を賜りたく、何卒宜しくお願い申し上げます。

【若松弁護士 新事務所】
 弁護士法人ASK市役所通り法律事務所
 〒210-0005 
 川崎市川崎区東田町5番地3ホンマビル4階
 電話 044-230-1725/FAX 044-230-1726

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